呼気終末陽圧と術後無気肺:無作為化比較試験

【このトピックについてすでに知っていること】:呼気終末陽圧(PEEP)は、無気肺を防ぐために麻酔中に使用されるが、麻酔からの覚醒中のその影響は不明である。

【この記事が教えてくれている新しいこと】:全身麻酔下で腹部外手術を受ける 30 人の患者を、覚醒前酸素化のために 100% 酸素を投与する前に、PEEP を維持(7 または 9 cmH2O)するか、またはゼロ PEEP とするように無作為化した。PEEP が覚醒中に使用されたかどうかにかかわらず、術後無気肺(コンピュータ断層撮影により評価)は少なく、酸素化に影響を及ぼさかった。

<要旨>
・呼気終末陽圧(PEEP)は肺容量を増加させ、麻酔中の肺胞虚脱から保護する。覚醒中、抜管に備えた安全な前酸素化は、特に PEEP によって開放されている背側領域において、肺をガス吸収および肺胞虚脱の影響を受けやすくする。覚醒前酸素化を開始する前に PEEP を中止すると術後無気肺形成が少なくなると著者らは仮定した。

・これは、全身麻酔下で腹部外手術を受ける 30 人の健康な患者と、肥満指数に応じて PEEP 7 または 9 cmH2O の人工呼吸を受ける無作為化対照評価者盲式試験であった。手術終了時のコンピューター断層撮影でベースラインの無気肺が評価された。その後、研究対象は、覚醒前酸素化中、PEEP を維持(n=16)するか、または ゼロ PEEP(n=14)のいずれかに割り当てられた。抜管の 30 分後に 2 回目のコンピューター断層撮影スキャンによって評価された無気肺面積の変化が主要評価項目であった。酸素化は動脈血ガスにより評価した。

・ベースラインの無気肺は小さく、覚醒時にはわずかに増加したが、群間で統計的に有意差はなかった。覚醒中に PEEP を適用した場合、無気肺面積の増加は中央値(範囲)1.6 (-1.1 ~ 12.3)cm であり、PEEP なしでは 2.3 (-1.6 ~ 7.8) cm. であった。差は 0.7 cm (95% CI, -0.8 ~ 2.9 cm; P=0.400).であった。全患者の術後無気肺は中央値 5.2 cm(95%CI、4.3~5.7 cm)であり、全肺面積の中央値 2.5%(95%CI、2.0~3.0%)に相当した。術後の酸素化は、術前の覚醒状態における酸素化と比較した場合、両群で変化がなかった。

・覚醒前酸素化前に PEEP を中止しても、腹部外手術後の無気肺形成は減少しない。覚醒時に 100% 酸素を使用するにもかかわらず、術後の無気肺は小さく、酸素化に影響を及ぼさない。これはおそらく術中 PEEP によって達成される、麻酔中の開放肺が条件となるのだろう。

[!]:覚醒前に純酸素にしておいても、術中 PEEP をかけておけば、術後無気肺はそれほど生じないだろうと。個人的には抜管前に純酸素にする意義はほとんどなく、むしろ、無気肺予防のために前窒素化が必要(麻酔直後の呼吸抑制が生じやすいときに吸収性無気肺が起こりにくいように)だと考えているが・・・。

【出典】
Positive End-expiratory Pressure and Postoperative Atelectasis: A Randomized Controlled Trial.
Anesthesiology. 2019 May 15. doi: 10.1097/ALN.0000000000002764. [Epub ahead of print]

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 1

ナイス

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック