子癇前症における血液脳関門の完全性と神経炎症の評価

・血液脳関門の完全性は通常の妊娠条件下では損なわれないが、動物研究では子癇前症で血液脳関門の障害が起こることが示唆されている。しかし、人間のデータは限られており、子癇前症女性での血液脳関門の完全性は評価されていない。著者らは、子癇前症女性で、血液脳関門の完全性が損なわれ、神経炎症が増加するという仮説を検証しようとした。

・著者らは、待機的帝王切開分娩に際して、脊椎麻酔か、または分娩に際して脊椎硬膜外併用鎮痛を受けた妊娠 24 週超の妊婦を対象に、観察症例対照研究を行った。症例は子癇前症女性であり、対照は健常妊娠、慢性高血圧、妊娠高血圧のいずれかの女性であった。分娩前に、血液、尿、脳脊髄液の一対のサンプルを各被験者から採取した。比色法または酵素免疫測定法を用いて、血漿と脳脊髄液中のアルブミン、C5a、C5b-9、TNF-α、IL-6、尿中アルブミン、C5a、C5b-9 濃度を測定した。脳脊髄液中のアルブミンの血漿に対する比率(Qalb)を、母体の血液脳関門の完全性の代替変数として使用した。脳脊髄液濃度の C5a、C5b-9、TNF-α、IL-6 を神経炎症の代理マーカーとして使用した。群間の Qalb と脳脊髄液タンパク質濃度の差は、中央値のノンパラメトリック検定によって評価した。

・子癇前症の 16 例、健康妊娠 16 例の対照、慢性または妊娠高血圧の 16 例の対照を含む 48 人の被験者が登録された。子癇前症症例では、健常または高血圧対照と比較して Qalb 値は増加しなかった[Qalb 中央値(四分位範囲):3.5(2.9-5.1) vs 3.9(3.0-4.8)、P=0.78]。さらに、Qalb 値は、重症特性のある子癇前症の女性のサブセット(n=8)は、重症特性のない女性群(n=8)と比較して、増加しなかった[Qalb中央値(四分位範囲):3.5(3.3-4.9) vs 3.7(2.3~5.5)、P=0.62]。子癇前症症例では、C5a、C5b-9、TNF-α、IL-6 の脳脊髄液濃度は、健康な妊娠、慢性高血圧、または妊娠高血圧のいずれかの対照と比較しても増加しなかった(P>0.05、全ての比較)。脳脊髄液の陰性所見とは対照的に、子癇前症被験者では、C5b-9 と IL-6 の両血漿濃度、C5a と C5b-9 の尿中濃度が増加した。

・分娩時の血液と脳脊髄液の対検体間のアルブミン、補体タンパク質、およびサイトカインの測定から、子癇前症における血液脳関門障害または神経炎症のエビデンスは見つからなかった。著者らの知見を検証するためには、より広い範囲のタンパク質を調査するもっと大規模な研究が必要である。

POINT子癇前症妊婦で、血液脳関門の障害のエビデンスは得られなかった。
【出典】
Assessment of blood-brain barrier integrity and neuroinflammation in preeclampsia.
Am J Obstet Gynecol. 2019 Jun 20. pii: S0002-9378(19)30788-4. doi: 10.1016/j.ajog.2019.06.024. [Epub ahead of print]

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