麻酔導入時の「前酸素化」についての MCQ 問題


【問題】 麻酔導入時の「前酸素化」についての記述で、間違っているのはどれか?

a.麻酔マスクをヘッドバンドで隙間なく顔面に押し当てるようなことはしてはいけない。

b.パルスオキシメーターの酸素飽和度が 100% であれば十分な前酸素化が行われたことを意味する。

c.十分な前酸素化を行うことで、リスクのない患者であれば、無呼吸でも 8 分まで低酸素飽和度(<90%)を回避できる。

d.前酸素化の意義は、血中の酸素含量を最大限に増加させることである。

e.通常の一回換気量であれば、最低 3 分以上自発呼吸する必要がある。

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【解答】間違っているのは a、b、d。
    a:× b:× c:〇 d:× e:〇

正常なカプノ.jpga:(×)正しい前酸素化を行うには、麻酔マスクをヘッドバンドで隙間なく顔面にぴったりとフィットさせて、正常なカプノグラフィー波形が表示されているのを確認する必要がある。正常なカプノグラフィー波形が表示されていない場合は、マスクと顔面の間のわずかな隙間を含めて、麻酔回路のどこかにリークがある可能性があるので、回路の点検を行うとともに、マスクのフィッティング(マスクと顔面の間に隙間がないかどうか)を再チェックする。関連記事1を参照。

b:(×)パルスオキシメーターの酸素飽和度が 100% であることは、血中のヘモグロビンが十分に酸素化されていることを示すだけであって、今現在十分な換気ができているか、気道が開存しているか、肺内に十分に高濃度の酸素が存在するかについては何も語っていない。酸素を吸入させて、酸素飽和度が 100% になれば、十分な酸素化が行えたといえるかもしれないが、けっして十分な「前酸素化」が行えたとは言えない。十分な前酸素化が行えたかどうかは、呼気酸素濃度を確認する必要がある。関連記事3を参照。

無呼吸後の酸素飽和度の推移.pngc:(〇)呼吸停止または換気から末梢動脈血酸素飽和度(SpO2)が 90% に低下し、その後急激に低下するまでの時間として定義される安全無呼吸時間は、機能的残気量に相当する肺容量の肺胞酸素濃度を 80% 以上、できれば 90% 以上にすることで、肥満や心肺疾患がない成人の非妊娠患者であれば、 8 分程度まで延長することができる。一方、小児や妊婦、重症疾患患者、肥満患者では、安全無呼吸時間は短縮する。関連記事2、3を参照。

前酸素化による酸素貯蔵量.pngd:(×)前酸素化の意義は、体内の酸素貯蔵量を十分に増加させることである。この時、もっとも重要な生理学的構造は、通常呼吸の呼気終末時に肺内に存在するガスの容量で、機能的残気量と呼ばれるものである。組織や血液にもある程度の酸素貯蔵が可能であるが、酸素吸入させることによって、酸素貯蔵量をもっとも効率的に増加させることが期待できるのは、肺内に存在する酸素量である。室内空気を呼吸する場合と比較して、酸素を吸入することによって、肺の酸素貯蔵量を約 6 倍にまで増やしうる。

前酸素化.jpge:(〇)通常の一回換気量であれば、最低 3 分以上自発呼吸する必要がある。最大換気ならば、1 分間に 8 回で通常呼吸 3 分と同等か、あるいは、それ以上の効果が得られる。関連記事1を参照。




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