大手術後の麻酔深度と合併症:国際的な無作為化比較試験

・麻酔深度の増加と術後生存の減少との関連性は、観察研究で示されている。ただし、無作為化比較試験からのエビデンスは不足している。著者らの目的は、大手術を受け、浅いまたは深い全身麻酔に無作為に割り当てられた高齢患者の 1 年全死因死亡を比較することであった。

脳波4.png・国際的試験では、年齢 60 歳以上で、有意な併存疾患があり、手術所要時間が 2 時間以上で、入院期間が 2 日以上である 7 か国 73 施設から患者を募集した。大手術後に合併症リスクが高い患者を、浅い全身麻酔(BIS ターゲット 50)か、または深い全身麻酔(BIS ターゲット 35)に無作為に割り当てた。麻酔科医はまた、術中の各患者の平均動脈圧の適切な範囲を維持した。患者は、手術直前に地域ごとに並べ替えたブロックに無作為に割り当てられ、患者と評価者は群割り当てを知らされなかった。主要評価項目は、1 年間の全死因死亡であった。

・患者は 2012 年 12 月 19 日から 2017 年 12 月 12 日に登録された。適格と一次審査された 18026 人の患者のうち、6644 人登録され、治療群か対照群に無作為に割り当てられ、治療意図患者群を構成した(BIS 50 群の 3316 人と BIS 35 群の 3328 腎)。BIS の中央値は、BIS 50群では 47・2(IQR 43・7〜50・5)、BIS 35 群では 38・8(36・3〜42・4)であった。BIS 35 群よりも BIS 50 群の方が、平均動脈圧は、 3.5 mm Hg(4%)高く(それぞれ中央値 84.5[IQR 78.0〜91.3]と 81.0[75.4?87.6])、揮発性麻酔薬の使用時の最小肺胞濃度は 0.26(30%) 低かった(それぞれ、0.62[0.52〜0.73] と 0.88[0.74〜1.04])。1年死亡率は、BIS 50 群で 6.5%(212 人の患者)、BIS 35 群で 7.2%(238 人の患者)であった(ハザード比 0.88、95%CI 0.73〜1.07、絶対リスク低減 0・8%、95%CI 〜0・5から2・0)。グレード 3 の有害事象は、BIS 50 群の 954 人(29%)の患者と BIS 35 群の 909 人(27%)の患者に、グレード 4 の有害事象は、それぞれ 265 人(8%)と 259 人(8%)の患者で発生した。最も多く報告された有害事象は、感染症、血管障害、心臓障害、新生物であった。

・大手術後合併症のリスクが高い患者の中で、浅い全身麻酔は、深い全身麻酔よりも低い 1 年死亡率と関連していなかった。著者らの試験は、処理脳波モニターを使用して揮発性麻酔薬濃度を調節した場合、広範囲の麻酔深度で、麻酔を安全に施行できる可能性があることを明らかにしている。

安全性に差がないとは言っても、不必要に深い麻酔は、薬品コストから考えても避けるべきであろう。

【出典】
Anaesthetic depth and complications after major surgery: an international, randomised controlled trial.
Lancet. 2019 Oct 18. pii: S0140-6736(19)32315-3. doi: 10.1016/S0140-6736(19)32315-3. [Epub ahead of print]

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