腹腔鏡下腹部手術を受けた高齢者の術後認知能に及ぼす静脈麻酔と揮発性麻酔薬の効果

認知機能.png・術後の神経認知機能の回復の遅れは予後不良と関連している。ほとんどの手術には全身麻酔が必要であるが、その中でもセボフルランとプロポフォールが最も一般的に使用されている吸入麻酔薬と静脈麻酔薬である。著者らは、プロポフォールベースの麻酔下で腹腔鏡下腹部手術を受けた患者は、セボフルランベースの麻酔下の患者よりも神経認知機能の回復遅延の発生率が低いという第一の仮説を検証した。第二の仮説は、遅発性神経認知回復の発生を予測するための血液バイオマーカーがあったということである。

・中国の病院 4 施設ので無作為化二重盲式並行対照試験を実施した。2 時間を超える可能性の高い腹腔鏡下腹部手術を受けた高齢患者(年齢 60 歳以上)を、全身麻酔を維持するためにプロポフォールまたはセボフルランをベースとしたレジメンに無作為に割り付けた。プロポフォール群ではセボフルラン群と比較して遅発性神経認知回復率が 3 分の 1 減少したことを検出するために、各群で最低 221 人の患者を計画した。主要評価項目は手術 5〜7 日後の神経認知機能回復遅延の発生率であった。

・合計 544 人の患者が登録され、各群 272 人の患者が登録された。これらの患者のうち、プロポフォール群 226 人、セボフルラン群 221 人が神経認知機能回復遅延の診断に必要な神経心理学的検査を完了し、セボフルラン群 46 人(20.8%)、プロポフォール群 38 人(16.8%)が神経認知機能回復遅延の基準を満たした(オッズ比、0.77;95%CI、0.48〜1.24;P=0.279)。皮膚切開 1 時間後の血中インターロイキン-6 濃度の高値は、神経認知機能の回復遅延の可能性の増加と関連していた(オッズ比、1.04;95%CI、1.01〜1.07;P=0.007)。有害事象の発生率は両群で同様であった。

プロポフォールとセボフルランの麻酔薬の選択は、腹腔鏡下腹部手術後 5〜7 日目の神経認知機能回復遅延の発生率に影響を与えないようであった。執刀後の血中インターロイキン-6 濃度高値は、神経認知回復遅延の独立危険因子である可能性がある。

薬理学的には、揮発麻酔薬の方が肝腎機能に依存せずに早期に体外排泄されるので、術後神経認知機能に影響することは少なそうだが。

【出典】
Intravenous versus Volatile Anesthetic Effects on Postoperative Cognition in Elderly Patients Undergoing Laparoscopic Abdominal Surgery
Anesthesiology. 2021 Jan 13. doi: 10.1097/ALN.0000000000003680. Online ahead of print.

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