非定型的根治的乳房切除術を受けた患者の覚醒までの時間を短縮する新しいバランス麻酔:無作為化前向き試験

・本研究では、非定型的根治的乳房切除術を受けた女性患者 100 名が登録された。全患者にプロポフォールをベースとした静脈麻酔で導入し、その後プロポフォールとセボフルランを併用した維持麻酔を行った。手術終了の約 30 分前に、Sev 群(n=50)ではプロポフォールを注入せずにセボフルランを継続的に吸入したが、Pro 群(n=50)ではプロポフォールのみを注入した。主要評価項目は、覚醒/抜管までの時間であった。副次評価項目は呼吸回復までの時間と麻酔回復室(PACU)在室時間であった。血行動態パラメータと、低酸素血症、嘔気、嘔吐、めまい、覚醒興奮(EA)などの術後有害事象の発生率も評価した。
・Sev 群では、Pro 群に比べて覚醒/抜管までの時間が短かった(12.74±4.31 分 vs. 17.74±4.27 分、P<0.0001)。同様に、呼吸回復までの時間、PACU 在室時間も Sev 群で有意に短縮された(いずれも P<0.0001)。Sev 群の患者のほとんどは完全に意識が覚醒した状態で抜管された。PACU 在室中の血行動態パラメータと術後の低酸素血症、嘔気、嘔吐、めまい、EA の発生率は両群間で同等であった。
・非定型的根治的乳房切除術を受けた患者において、この新しいバランス麻酔法は、有害事象の発生率を増加させることなく、覚醒/抜管までの時間を短縮し、より良好な覚醒状態を得ることができた。
ひこ
全身麻酔終了時は、より個人差の少ない吸入麻酔単独にした方が、速やかな覚醒を得られると。当たり前だが、プロポフォールのキセル麻酔にもそれなりのメリットがある。
【出典】
A novel balanced anesthesia shortens time to emergence in patients undergoing modified radical mastectomy: a randomized prospective trial
Ann Palliat Med. 2021 Jan 11;apm-20-1774. doi: 10.21037/apm-20-1774. Online ahead of print.
A novel balanced anesthesia shortens time to emergence in patients undergoing modified radical mastectomy: a randomized prospective trial
Ann Palliat Med. 2021 Jan 11;apm-20-1774. doi: 10.21037/apm-20-1774. Online ahead of print.
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