高齢者の股関節骨折に対する術前の不要な循環器科評価と経胸壁心エコー図は手術までの時間を遅らせる

TTE.png・高齢者の股関節骨折患者の手術の遅れは、罹患率と死亡率の増加に関連している。American Heart Association(AHA)とAmerican College of Cardiology(ACC)のClinical Practice Guidelines(CPG)は、術前の循環器科コンサルテーションと経胸壁心エコー(TTE)を標準化するために作成された。本研究の目的は、セーフティネット病院において、これらの診療行為が過剰に行われ、手術までの時間を遅らせているかどうかを明らかにすることである。

・レベル 1 の外傷センターとセーフティネット病院での後ろ向きレビューで、股関節骨折で入院した高齢患者 412 名を対象に、AHA および ACC の CPG に基づく術前の心疾患学的診察または TTE の適応についてカルテをレビューした。AHA/ACC のガイドラインを満たす基準で、術前の TTE や心臓の診察を行った。主要評価項目は、外科的処置までの時間であった。

基準を満たした患者は 17.7% であったにもかかわらず、44.4% の患者が循環器科の診察を受けた。そのうち、33.8% が術前 TTE を受ける基準を満たしていたが、89.4% が受けていた。手術までの時間は、循環器科の診察を受けた患者(25.42±14.54 時間、P<0.001)の方が、受けなかった患者(19.27±13.76、P<0.001)よりも、術前 TTE を受けた患者(26.00±15.33 時間、P<0.001)の方が、受けなかった患者(18.94±12.92 時間、P<0.001)よりも長かった。

AHA/ACC CPG に反して循環器科の診察と TTE が頻繁に行われている。これらの手段は高価であり、手術を遅らせ、罹患率と死亡率を増加させる可能性がある。これらの知見は、セーフティネット病院の限られた医療資源にもかかわらず持続した。病院は CPG の遵守を改善するか、プロトコルを変更すべきである。

日本でも同様なんだろうな。胸部写真や心電図で特に異常なければ、息切れや胸痛などの胸部症状がなければ、心エコーや循環器内科紹介は不要だ。

【出典】
Unnecessary Preoperative Cardiology Evaluation and Transthoracic Echocardiogram Delays Time to Surgery for Geriatric Hip Fractures
J Orthop Trauma. 2021 Apr 1;35(4):205-210. doi: 10.1097/BOT.0000000000001941.

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この記事へのコメント

一地方勤務医
2021年03月31日 08:34
外から失礼します

術前の数時間の検査をしなかった結果、術後の心不全による退院の数日の遅れに関してはどのように考えているのか、が気になります。

心不全になったら循環器に転科すれば良い、ということでしょうか?
yoshi
2021年04月01日 15:16
いつも勉強させていただいております。
うちでもやりすぎの感はあります。
でもごく稀に、TTEで重度ASが見つかったり、右心系の拡大からPTEが判明したケースがあります。術前TTE後にその後の方針が変わったケースです。聴診器で気付けと言われるかもしれませんが。
TTEだけなら問題となるほどには遅れないでしょう。せいぜい30分くらいでしょうか。
股関節骨折の患者は問題を色々と抱えていることも多いのでTTEくらいはしてもいいかなと思っています。まあ、医療費のこともありますので、術前に患者がどれくらい元気かで決めるべきでしょうが。