腹部外科手術を受ける患者の周術期における高濃度酸素吸入が無気肺を誘発する:無作為化比較試験

無気肺.png・著者らは、従来の酸素療法と比較して、低い吸入酸素濃度(FIO2)の使用可能性および術後無気肺や合併症に及ぼす効果を評価した。

・大学病院単施設の手術室および術後回復室での無作為化臨床試験で、全身麻酔下に腹部手術を受ける年齢 50 歳以上で、ASA-PS I-II Iの患者 190 名を対象として、低 FIO2群(術中:FIO2 0.35、導入・回復時:FIO2 0.7)とするか、または従来の FIO2群(術中:FIO2 0.6、導入・回復時:FIO2 1.0)のいずれかに無作為に割り付けた。主要評価項目は、術後 30 分に麻酔回復室での肺超音波検査を用いて測定した術後無気肺(コンソリデーション/スコア:各部位 0〜3、12 部位、合計スコアの範囲は 0〜36、スコアが低いほど通気性が良いことを示す)。

・低 FIO2群の 7 例は、介入中に FIO2 を変更したため、研究から除外された(7/95(8.4%) vs 2/95(2.1%)、p=0.088、低 FIO2群 vs 従来の FIO2群)。全体として、無気肺は術後 30 分後に肺超音波検査で 29.7%(51/172 人)、術後 2 日目の胸部 X 線検査で 40.1%(69/172人)に検出された。肺超音波検査のスコアおよび有意な無気肺の発生率(いずれかの部位でコンソリデーション・スコア≧2)は、低 FIO2 群の方が、従来の FIO2群よりも低かった(それぞれ、中央値[IQR]:3[1,6] vs 7[3,9]、p<0.001、17/85(20%) vs 34/87(39%)、RR:0.512[95%CI:0.311-0.843]、p=0.006)。手術部位感染の発生率と入院期間は、両群間で有意差はなかった。

・今回の結果から、麻酔および回復時の吸入酸素濃度の減少は、低酸素事象の原因とはならず、むしろ術直後の無気肺を減少させた。術中に従来型の高い吸入酸素濃度を使用しても、腹腔鏡手術の術後回復に臨床的な利点はなかった。

酸素飽和度モニターが臨床使用できるようになって 30 年以上経過した現在、不測の低酸素事象を想定した上での、麻酔中の高濃度酸素の使用はもっと控えてしかるべきだろう。

【出典】
Perioperative high inspired oxygen fraction induces atelectasis in patients undergoing abdominal surgery: A randomized controlled trial
J Clin Anesth. 2021 Apr 7;72:110285. doi: 10.1016/j.jclinane.2021.110285. Online ahead of print.

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