緊急手術を受ける高齢者の肥満パラドックス:全国規模での分析

肥満.png・肥満は長い間、外科手術における術後の有害事象の危険因子と考えられてきた。著者らは、リスクの高い緊急一般外科手術(EGS)を受ける高齢患者の臨床転帰に及ぼす肥満度(BMI)の影響を調査しようとした。

・2007 〜 2016 年の ACS-NSQIP データベースに登録されている年齢 65 歳以上の EGS 患者全員を対象とし、変数「emergency」と「surgspec」を用いて同定した。患者を次の 5 群に分類した:正常体重:BMI<25kg/m2、過体重:BMI≧25kg/m2 かつ <30kg/m2、クラスI:BMI≧30kg/m2 かつ <35kg/m2、クラスII:BMI≧35kg/m2 かつ <40kg/m2、クラスIII:BMI≧40kg/m2 5 群に分類した。BMI<18.5kg/m2 の患者は除外した。多変量ロジスティック回帰モデルを構築し、人口統計学(年齢、性別など)、併存疾患(糖尿病、心不全など)、臨床検査(白血球数、アルブミンなど)、手術の複雑さ(ASA 分類など)を調整した上で、肥満と 30 日後の術後死亡率、全罹患率、個々の術後合併症との関係を評価した。

合計 78,704 人の患者を対象とし、そのうち 26,011 人が過体重(33.1%)、13,897人(17.6%)がⅠ型肥満、5904人(7.5%)がⅡ型肥満、4490人(5.7%)がⅢ型肥満であった。多変量解析では、非肥満者と比較して、過体重またはクラス I〜III の肥満患者は、逆説的に死亡率、輸血を必要とする出血、肺炎、脳梗塞、心筋梗塞(MI)のリスクが低かった。さらに、心筋梗塞と脳梗塞の発症率は、BMI が過体重から高度肥満になるにつれて、段階的に低下した(心筋梗塞:OR:0.84[0.73-0.95]、OR:0.73[0.62-0.86]、OR:0.66[0.52-0.83]、OR:0.51[0.38-0.68]、脳梗塞。OR:0.80[0.65-0.99]、OR:0.79[0.62-1.02]、OR:0.71[0.50-1.00]、OR:0.43[0.28-0.68])。)

・高齢の EGS 患者を対象とした本研究では、過体重および肥満の患者は、死亡率、輸血を必要とする出血、肺炎、再挿管、脳梗塞、心筋梗塞のリスクが低かった。この患者集団における肥満パラドックスを確認・調査するためには、さらなる研究が必要である。

「肥満患者は、常日頃から「大リーグボール養成ギブス」を装着しているようなものだ」と考えれば、逆説的ではない、当然の結果といえるかもしれない。それにしても、人口の 6 割以上が、BMI≧25 とは、さすがに「肥満大国」だな。ボストン MGH からの報告。

【出典】
The Obesity Paradox in Elderly Patients Undergoing Emergency Surgery: A Nationwide Analysis
J Surg Res. 2021 May 2;265:195-203. doi: 10.1016/j.jss.2021.02.008. Online ahead of print.

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