脊椎手術中の運動誘発電位(MEP)のベースラインモニター性に対する吸入麻酔薬の影響:22,755 件の頸椎および腰椎の手術を対象としたレビュー

運動神経.png・脊椎手術の際、運動誘発電位(MEP)は、脊髄機能と脊髄神経根・神経叢機能の両方をモニターするためにしばしば使用される。脊髄機能をモニターするための MEP の信頼性に及ぼす麻酔薬の影響を評価した報告はあるが、脊髄神経根や神経叢機能をモニターするための MEP の能力に及ぼす麻酔薬の影響についてはあまり知られていない。本研究の目的は、頸椎と腰椎の手術中の MEP のベースラインのモニタリング能力と振幅を、維持麻酔レジメンに基づいた 2 つのコホート間で比較することであった:全静脈麻酔(TIVA)と揮発性吸入剤と静脈麻酔剤を併用したバランス麻酔。

・2017 年 1 月から 2020 年 3 月までに、MEP を含むマルチモダリティ術中神経モニタリング(IONM)を利用した計 16,559 件の頸椎と、6,196 件の腰椎硬膜外脊椎手術のベースライン MEP データを多施設データベースから入手した。脊椎手術の部位ごとに、麻酔レジメンに基づいて、TIVA コホートとバランス麻酔コホートの 2 つのコホートを策定した。対象被患者は、年齢 18 歳以上で、主要評価項目は、モニター可能性率とベースライン MEP の振幅であった。各筋 MEP のベースラインモニター可能性は IONM チームによりリアルタイムで評価され、患者の電子カルテに記録された。麻酔法とベースラインのモニタリング能力との関係は、頚椎と腰椎の手技ごとに異なるモデルを用いて、混合効果ロジスティック回帰法により推定した。全 MEP がモニター可能であると判断された各麻酔コホートの頸椎および腰椎手術のサブセットを無作為に選択し、各筋 MEP の平均的な最高から底値までの振幅を後ろ向きに測定した。麻酔法による平均振幅差を評価するために、混合効果線形回帰モデルを推定した(頸部と腰部の手技でそれぞれ 1 つずつ)。

手術時のベースライン MEP は、TIVA コホートでは頸椎と腰椎の手術のそれぞれ 86.8% と 83.0% で、すべての対象筋からのモニターが可能と報告されたが、バランス麻酔コホートでは頸椎と腰椎の手術のそれぞれ 59.3% と 61.0% でモニターが可能と報告され、それぞれ 27.5% と 22.0% の差が生じた。ある筋 MEP のモデル調整後のコホート間のモニタリング可能性の差は、0.2%〜16.6% で、手足の遠位固有筋 MEP で最小(0.2%〜1.1%)、近位筋 MEP で最大(三角筋:10.8%、上腕二頭筋:8.8%、三頭筋:13.0%、大腿四頭筋:16.6%、腓腹筋:7.8%、前脛骨筋:3.7%)であり、バランス麻酔コホートでは TIVA コホートに比べて有意にモニター性が低下した(P<0.0001)。TIVA コーホートと比較して、バランス麻酔コーホートの MEP のモデル調整された振幅は、測定された全ての筋肉で小さく、27.5%〜78.0% の範囲であった。TIVA 群と比較して、バランス麻酔群では、ほとんどの近位筋で MEP のモデル調整後の振幅が有意に減少していた(減少率:三角筋:74.3%、上腕二頭筋:78.0%、上腕三頭筋:54.9.0%、大腿四頭筋:54.8%)。

脊椎手術中の MEP モニタリングを最適化するためには、TIVA が望ましい麻酔法である。吸入麻酔薬はほとんどの筋肉の MEP モニター性と振幅を著しく低下させ、この効果は三角筋、上腕二頭筋、上腕三頭筋、大腿四頭筋などの四肢の近位筋で特に顕著である。

脊椎手術時の MEP モニタリング中は、やはり TIVA が望ましい。

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