糖尿病患者と非糖尿病患者における待機的手術前の胃内容物の超音波評価:前向き多施設共同研究

胃内容物.png・糖尿病性胃不全麻痺は胃排出遅延の原因となりうるが、糖尿病患者の術前空腹後の胃内容量については相反するエビデンスが存在する。著者らは、糖尿病患者は絶食勧告に従っているにもかかわらず、麻酔導入前に胃内容量が増加していると仮定した。このリスクを評価するために、超音波による胃内容の評価を行った。

・この多施設共同前向き単盲式症例対照研究は、フランスの教育大学病院 3 施設で実施された。主要評価項目は、2 群間の胃内容物の増加の比較であり、Perlas グレード 2 の幽門か、または幽門断面積(CSA)>340mm2 によって定義された。各糖尿病患者は 3 人の非糖尿病対照患者とペアにされた。42 名の糖尿病患者と 126 名の対照患者が研究に対象となった。

・糖尿病患者 18 例(42.9%)に対して対照群 28 例(22.2%)が主要評価項目に到達した(P=0.009)。糖尿病患者は空腹状態で入室する頻度が少なかった。実に、グレード 0 の幽門であったのは、糖尿病患者 10 名(23.8%)に対して、対照群では 71 名(56.3%)であった(P<0.001)。幽門 CSA<340mm2 であったのは、糖尿病患者が 24 名(70.6%)であったのに対して、対照群では 98 名(86%)であった(P=0.039)。全体として、糖尿病患者における胃内容物増加のオッズ比は 2.63(95% 信頼区間, 1.25-5.52, P=0.009)であった。

・本研究では、適切な絶食ガイドラインに従っているにもかかわらず、糖尿病患者の胃内容物が対照群と比較して増加していることを明らかにしている。

糖尿病患者では、自律神経障害のため、消化管の蠕動運動が低下しており、胃内容の排出が遅延するようだ。

【出典】
Ultrasound assessment of the gastric content among diabetic and non-diabetic patients before elective surgery: a prospective multicenter study
Minerva Anestesiol. Jan-Feb 2022;88(1-2):23-31. doi: 10.23736/S0375-9393.21.15603-2.

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 4

なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー)

この記事へのコメント

3年目麻酔科医
2022年03月04日 23:15
3年目麻酔科医です。
先生のブログを読ませていただき、麻酔の際に参考にしてます!

先生のように麻酔関連の論文を勉強したいと考えていますが、どのように文献に当たっていますでしょうか?
参考までに教えていただけるととても嬉しいです!
よろしくお願いします。
SRHAD-KNIGHT
2022年03月05日 07:04
3年目麻酔科医さん、コメントありがとうございます。

>先生のように麻酔関連の論文を勉強したいと考えていますが、どのように文献に当たっていますでしょうか?

数年前までは、MDLinx の Anesthesiology で紹介されたものを中心にしていました。https://www.mdlinx.com/specialties/anesthesiology?contentType=journalSummary
・・・が、近年は、更新頻度が低くなったために、
Pubmed で、Aneshtesia, Sort by Most Recent で一覧を表示させて、興味のあるタイトルをピックアップして、一瞥して、全体が理解できて、うまく日本語に訳せそうだったらブログの記事にしています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/?term=anesthesia&sort=date
3年目麻酔科医
2022年03月05日 12:06
さっそくのご回答ありがとうございます!

先生のように立派な麻酔科医となれるよう、日々勉強に励みたいと思います(^^)

今後ともよろしくお願いいたします!
2022年03月07日 10:49
そうやって調べられていたんですね。私も参考にさせていただきます。ありがとうございました。