フェイスマスクによる従圧式換気を用いた場合の麻酔導入時PEEPの胃内ガス注入への影響

・麻酔導入中のフェイスマスク換気(FMV)は、胃内容の逆流と誤嚥につながる可能性のある胃内ガス注入のリスクと関連している。持続的気道陽圧法(CPAP)は胃逆流を軽減することが示されている。そこで、著者らは、CPAP とそれに続く呼気終末陽圧(PEEP)の FMV が、麻酔導入中に胃内ガス注入のリスクを低下させると仮定した。主要目的は FMV 中の胃内ガス注入の発生率を麻酔導入後の一定の PEEP レベル、またはゼロ PEEP(ZEEP)と比較することであった。副次目的は、FMV が、PEEP のある場とない場合で、上部食道括約筋(UES)、食道本体および下部食道括約筋(LES)の圧に及ぼす効果を調査することであった。

・スウェーデンのエレブルー大学病院単施設の麻酔科・集中治療室での無作為化比較試験で、対象は 30 人の健康ボランティアであった。CPAP 10 cmH2O のある場合、またはなしで前酸素化、続いて麻酔導入後に ZEEP または PEEP 10 cmH2O のいずれかを用いた従圧式 FMV を行った。インピーダンス/マノメトリーカテーテルを併用してガスの存在を検出し、食道内圧を測定した。主要評価項目尺度は、胃内ガス注入の累積発生率であり、これは LES 上で 1kΩ を超えるインピーダンスの急激な進行性増加として定義された。副次評価項目は、UES、食道本体および LES 圧であった。

・最高吸気圧(PIP)に関連した胃内ガス注入の累積発生率は、ZEEP 群と比較して PEEP群 で有意に高かった(ログランク検定 P<0.01)。PIP が 30 cm H2O に達したとき、PEEP 群の 15 例のうち 13 例で胃内ガス注入が発生したのに対して、ZEEP 群では 15 例のうち 5 例であった。酸素化前と麻酔導入後を比較した群内で食道括約筋圧の有意な減少があったが、PEEP レベルに関連した食道括約筋圧に有意差はなかった。

・初期の仮説とは反対に、PIP が増加するにつれて、試験された PEEP レベルは FMV 中の胃内ガス注入に対して保護的に作用せずに促進した。この結果は、麻酔導入後に FMV 中の PEEP は慎重に使用されるべきであるのに対して、酸素化前の CPAP は安全であると思われることを示唆している。

[!]:前酸素化の時は CPAP で呼気週末陽圧を加えても良いが、麻酔導入後のマスク換気の時には、PEEP は最高気道内圧を上昇させて、胃送気を促進するので注意して使用する必要がある。

【出典】
Effect of positive end-expiratory pressure on gastric insufflation during induction of anaesthesia when using pressure-controlled ventilation via a face mask: A randomised controlled trial.
Eur J Anaesthesiol. 2019 May 20. doi: 10.1097/EJA.0000000000001016. [Epub ahead of print]

"フェイスマスクによる従圧式換気を用いた場合の麻酔導入時PEEPの胃内ガス注入への影響" へのコメントを書く

お名前
メールアドレス
ホームページアドレス
コメント