肥満患者の術後肺合併症に及ぼす術中肺加圧操作を伴う高 PEEP vs 低 PEEP の効果

・肺胞リクルートメント手技を伴う術中の高レベル呼気終末陽圧法(PEEP)は、手術を受ける肥満患者の呼吸機能を改善するが、臨床転帰への影響は不明である。研究の目的は、肺加圧手技を伴う高レベルの PEEP が、低レベルの PEEP と比較して手術を受ける肥満患者の術後肺合併症を減少させるかどうかを調査することであった。

・肥満指数≧35 で、全身麻酔下に非心臓・非神経外科的手術を受ける術後肺合併症の相当なリスクを有する 2013 人の成人を対象とした無作為化臨床試験で、この試験は、2014 年 7 月から 2018 年 2 月まで、23 カ国 77 施設で実施された。最終経過追跡は、2018 年 5 月であった。患者は無作為に以下の 2 群に割り当てられた:高レベルの PEEP 群(n=989)は、PEEP レベル 12 cmH2O で、肺加圧操作を伴う (1回換気量の段階的増加、最終的には PEEP)、低レベルの PEEP 群(n=987)、PEEP レベル 4cmH2O。全患者は 1 回換気量 7 mL/kg 予測体重で従量換気を受けた。主要評価項目は、呼吸不全、急性呼吸窮迫症候群、気管支痙攣、新たな肺浸潤影、肺感染症、誤嚥性肺炎、胸水、心肺浮腫、気胸を含む術後 5 日以内の肺合併症の複合であった。9 つの事前に特定された副次評価項目のうち、3 つは低酸素血症を含む術中合併症であった(1 分を超える SpO2≦92% の酸素飽和度低下)。

・無作為化された 2013 人の成人のうち、1976 人(98.2%)が試験を完了した(平均年齢 48.8 歳;女性が 1381 人(69.9%);1778 人(90.1%)が腹部手術を受けた)。治療意図分析では、低レベル PEEP 群の 987 例中 233 例(23.6%)と比較して、高レベル PEEP 群 989 例中 211 例(21.3%)で主要転帰が生じた(差、-2.3%[95%CI、-5.9%~1.4%];リスク比 0.93 [95%CI、0.83~1.04];P=0.23)。9 つの規定副次評価項目のうち、6 つは高レベルと低レベルの PEEP 群間で有意差はなく、3 つは有意差があり、低酸素血症患者が少なかった(高レベル PEEP 群で 5.0% vs 低レベルPEEP 群で 13.6%)、差;-8.6%[95%CI、-11.1%~6.1%];P<0.001)。

・全身麻酔下で手術を受ける肥満患者では、低レベル PEEP を用いた戦略と比較して、高レベル PEEP と肺胞リクルートメント手技を用いた術中の人工呼吸戦略は、術後肺合併症を軽減しなかった。

[!]:肥満患者に術中に高 PEEP と肺加圧操作をしても、術後肺合併症は軽減できなかったと。

【出典】
Effect of Intraoperative High Positive End-Expiratory Pressure (PEEP) With Recruitment Maneuvers vs Low PEEP on Postoperative Pulmonary Complications in Obese Patients: A Randomized Clinical Trial.
JAMA. 2019 Jun 3. doi: 10.1001/jama.2019.7505. [Epub ahead of print]

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