Q:マスク換気困難!その時どうする?

A:マスク換気困難には、大きく 3 つの病因がある。

1.マスク・シールが不適切
2.気道抵抗の増加
3.呼吸器系のコンプライアンス低下(肺、または胸郭、その両方)

以下、この順に、それぞれの<要因>、<一般的対処法>、<個別の対処法>を記す。

【1】 マスク・シールが不適切
<考えられる要因>
・マスクサイズが不適切
・マスクの形状が不適切
・髭の存在
・歯がない
・上顎・下顎の変形(例:小額症)
・気道異物(例:NGチューブ)

<一般的対処法>
・ガス流量を上げてリークに打ち勝つ
・マスクサイズ・形状が不適当ならサイズ・形状を変えてみる
・両手マスク換気(C-E 法、V-E 法)を試みる
・鼻マスクを考慮(小児用マスクで鼻を覆い、口を塞ぐ)

<個別の対処法>
・髭 ⇒ 剃っておくか、テガダームなど閉鎖性材料で髭を覆い口部分だけ穴をあける
・歯がない ⇒ 義歯を入れたままにする、頬肉を前方に引っ張る、生食ガーゼ・パック
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・気道異物(例:NGチューブ) ⇒ 除去を考慮

【2】 気道抵抗の増加
<考えられる要因>
[上気道]
 ・扁桃肥大、アデノイド肥大
 ・余分な軟部組織
 ・巨舌、巨大な喉頭蓋
 ・気道浮腫
 ・口咽頭腫瘍
 ・外的圧迫(例:巨大頚部腫瘤・血種)
 ・喉頭けいれん
[下気道]
 ・気道分泌物
 ・過剰な輪状軟骨圧迫
 ・異物
 ・気管軟化症
 ・気管狭窄
 ・気道腫瘤や縦郭腫瘤
 ・気管支けいれん

<一般的対処法>
・体位取り
 ・スニッフィング位
 ・下顎挙上
 ・顎先挙上
 ・逆ドレンデレンブルグ位
・投薬
 ・麻酔を深く、筋弛緩薬投与
・補助器具
 ・経口・経鼻エアウェイ
 ・声門上気道器具(ラリンジアルマスクなど)
 ・声門上の咽頭に気管チューブを挿入してカフを 50-60ml で過膨張させる ~ 「貧乏人のラリンジアルマスク」
・駆動圧を上げるか、CPAP を適用する
・鼻マスクを考慮(小児用マスクで鼻を覆い、口を塞ぐ)
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<個別の対処法>
 ・気道分泌物 ⇒ 吸引操作を考慮
 ・過剰な輪状軟骨圧迫 ⇒ 圧迫解除を考慮
 ・異物 ⇒ 除去するか遠位気管支に落とし込む
 ・気管支けいれん ⇒ β作用薬投与、吸入麻酔を深く、PEEP を上げる

【3】 呼吸器系のコンプライアンス低下
<考えられる要因>
・拘束性肺疾患(例:肺線維症)
・胸郭変形(例:高度の脊椎側弯症)
・肥満
・腹部コンパートメント症候群
・妊娠
・外的圧迫(例:装具)
・緊張性気胸

<一般的対処>
・患者の呼吸との同期不全を治療するため適切な麻酔深度や筋弛緩が得られているか確認
・駆動圧を上げる
・逆トレンデレンブルグ位

<個別の対処法>
・外的圧迫(例:装具) ⇒ 装具を外す
・緊張性気胸 ⇒ 緊急胸腔穿刺・脱気
・腹部コンパートメント症候群 ⇒ 液体の場合は穿刺廃液、除圧のための緊急開腹
・妊娠 ⇒ 緊急に手術的に胎児娩出

【出典】 以下の文献に詳しく書かれています。一読の価値あり!
Optimizing Mask Ventilation: Literature Review and Development of a Conceptual Framework
Respir Care 2015;60(12):1834–1840.

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