腹腔鏡手術で気腹中の腹腔内スペースに及ぼす筋弛緩の深さの影響

・研究目的は、腹腔鏡手術の気腹中の腹腔無いスペースに及ぼす筋弛緩(NMB)の影響を、中程度 NMB と 深い NMB を比較しつつ評価することであった。

・ASA I/II で待機的腹腔鏡手術予定の 76 人の患者を対象とした、手術室での前向き無作為化クロスオーバー臨床試験である。規定の腹腔内圧(IAP) 8 と 12 mmHg に気腹を確立して、中程度の NMB(TOFカウント、1~3)と深い NMB(PTC<5)の両方で、2 回の独立評価を実施した。筋弛緩の導入には、ロクロニウムを用いて、拮抗にはスガマデクスを使用した。著者らは、(i) 41 人の患者で注入された CO2量、および (ii) 35 人の患者で気腹確立時の皮膚仙骨岬角間距離を評価した。

・中等度 NMB と比較して、深い NMB は、腹腔内 CO2 吹送(平均[SD]、8mmHg IAP で 2.24[1.10]vs 2.81[1.13]L、P<0.001、12 mmHg IAP で 3.52[1.31]vs 4.09[1.31]L、P<0.008mmHg)と、皮膚仙骨岬角間距離(8mmHg IAP で 11.78[1.52] vs 12.16[1.51]cm、P=0.002、12mmHg IAP で 13.34[1.87] vs 13.80[1.81]cm、P<.001)の両方を有意に増加させた。深い NMB を誘発した後の腹腔内用量の増加は、8 と 12mm Hg 気腹で、患者のそれぞれ 88% と 81.7% で観察され、その容量増加の平均はそれぞれ 36.8%(95%信頼区間[CI]、22.8~50.8)と 25 %(95%CI、13.7-36.4)であった(P=0.003)。距離の増加は、8cm と 12cm の気腹時に、それぞれ 61% と 82% の患者で観察され、距離増加の平均は 3.3%(95%CI、1.3-5.4)と 3.6%(95%CI、1.9-5.2)であった(P=.840)。

・中程度 NMB と比較して深い NMB は、気腹確立時に腹腔内スペースを有意に増加させた。しかしながら、腹腔測定値の効果的な増加は低く、増加は個人差が大きく、全ての患者で観察されたわけではなかった。術野条件に及ぼすこの増加の臨床的意義はまだ明らかではない。

【出典】
Effect of depth of neuromuscular blockade on the abdominal space during pneumoperitoneum establishment in laparoscopic surgery.
J Clin Anesth. 2016 Nov;34:197-203. doi: 10.1016/j.jclinane.2016.04.017. Epub 2016 May 11.

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