Q:筋弛緩モニターの代替装着部位とは?

A:筋弛緩薬を用いて安全な麻酔管理を行うためには、TOF ウォッチ等の筋弛緩モニターを用いた客観的モニタリングが推奨されている。筋弛緩モニターの装着部位は、測定のし易さから、手の拇指がもっとも広く用いられており、尺骨神経を刺激して拇指内転筋の動きをモニターする。
●尺骨神経-拇指内転筋
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〇モニター装着の要点
・表面電極を貼る前に、皮膚をアルコール綿などでよく拭き皮膚の電気抵抗を減らして空気乾燥させておく。
・表面電極は、手首の近位尺側にある尺骨神経を挟み 2~4cm 程度離して表面電極同士が接触しないように貼る。
・外側過ぎると正中神経を刺激してしまう。
・内側過ぎると尺骨神経に刺激が届かない。
・表面電極が近すぎると、電流が表層にとどまり深部まで届かない。
・白クリップ(プラス)を近位の体幹側に、黒クリップ(マイナス)を遠位の手先側に接続する。
・加速度トランスデューサは、平らな面を装着部位(拇指)の動きに対して垂直になるように取り付ける。

手術中に患者の前腕へのアクセスが不能で、拇指での測定が困難な場合には、以下に示すような別の部位での測定が可能である。

●顔面神経-皺眉筋
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・顔面神経に表面電極を貼って測定する。
・頬骨弓の上下に貼り、白クリップを頬骨弓下に、黒クリップを頬骨弓上に接続する。
・加速度トランスデューサを、皺眉筋のある部位(眉毛内側の上部)に、凹凸のある面を内側に向けて立てて装着する。
・刺激電流は、最大上刺激を用いると筋を直接刺激してしまう恐れがあるため、25~30mA 程度を用いる。

●顔面神経-眼輪筋
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・皺眉筋と同様に顔面神経に表面電極を貼って測定する。
・表面電極を頬骨弓の上下に貼り、白クリップを頬骨弓下に、黒クリップを頬骨弓上に接続する。
・加速度トランスデューサを眉毛上の外側に立てて取り付ける。
・刺激電流は、最大上刺激を用いると筋を直接刺激してしまう恐れがあるため、25~30mA 程度を用いる。

・腹腔鏡手術などで両手を体幹に付けて体位を取る場合、私はもっぱら本法を使用している。

●咬筋神経-咬筋
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・表面電極を咬筋上に貼り、咬筋神経を刺激して行う。
・神経の走行に従って、白クリップを上方に、 黒クリップを下方に貼り付ける。
・加速度トランスデューサを咬筋の下顎角付着部に立てて取り付ける。

以上の顔面に装着する 3 つの方法では、加速度トランスデューサは皮膚面と同じ方向に動くので、この運動を検知できるように、皮膚面に対して90度回転させて立てて装着する必要がある(イラストを良く見てくださいね。)。

●後脛骨神経-短拇指屈筋
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・表面電極を後脛骨神経に、加速度トランスデューサを拇趾に取り付け、母趾の底屈運動を評価して行う。
・表面電極は、脛骨内果後方でアキレス腱との間に貼る。
・白クリップは近位の体幹に近い方に、 黒クリップは遠位の足先の方に接続する。

<メモ>
どの部位でモニターするにしろ、加速度トランスデューサの装着の部位や方向がまずいと、きちんとカウントできないことがある。目で見て明らかに動きがあるにもかかわらず、しばしばカウントしてくれないことがある。このような場合には、加速度トランスデューサの平らな面が可及的に運動方向と垂直になるように設置し直すことが必要である。何度か設置し直しても同じ結果であれば、とりあえず「視診によるカウント」や「触診によるカウント」をせざるを得ない場合もあるが、筋弛緩モニタリングをしないよりは、圧倒的に過少投与や過量投与となる事態を回避できるので有用である。

<参考サイト>
臨床で役立つTOFウォッチ®マスターマニュアル

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