帝王切開分娩に際しクモ膜下モルヒネを投与される女性での経皮的二酸化炭素測定:前向き観察研究

・脊柱管モルヒネは、帝王切開後に最もよく使用される鎮痛法である。呼吸抑制の発生率は、パルスオキシメトリや呼吸数で測定したこの患者集団では非常に低い(0%~1.2%)と報告されている。しかしながら、高炭酸ガス血症は、呼吸抑制のより敏感な尺度である可能性がある。本研究では、帝王切開分娩後鎮痛のためにクモ膜下モルヒネを投与された女性で、2 分以上持続する高炭酸血症(経皮 CO2[TcCO2]>50 mmHg)の発生率を、Topological Oscillation Search with Kinematical Analysis monitor を用いて評価した。

・クモ膜下モルヒネを伴う脊椎麻酔下に帝王切開分娩を予定している健康女性(妊娠 37 週超)を募集した。ベースライン STOP-BANG 睡眠時無呼吸アンケートと TcCO2測定値が得られた。脊椎麻酔は、高比重ブピバカイン 12mg、フェンタニル 15μg、モルヒネ 150μg で開始した。 Topological Oscillation Search with Kinematical Analysis monitor を、麻酔回復室で再装着し、TcCO2 測定値は 24 時間まで取得された。補助的オピオイド投与と有害呼吸事象が記録された。主要評価項目は、高炭酸ガス血症事象の発生率であり、それは分娩後 24 時間での TcCO2>50mmHg≧2 分間と定義された。

・募集された 120 人の女性のうち 108 人が研究を完了した。35 人の女性(32%、99.15%信頼区間、21%-45%)は、持続的高炭酸血症事象の主要評価項目に達した。クモ膜下モルヒネ投与から高炭酸ガス血症事象発生までの時間の中央値(四分位範囲[IQR])は、300(124-691)分であった。事象発生数の中央値(IQR)は 3(1-6)回であり、症候の最長期間は 25.6(8.4-98.7)分であった。ベースラインの TcCO2測定値の中央値(IQR)は 35(30-0)mmHgであり、術後の TcCO2測定値の中央値(IQR)は 40(36-43)mmHg で、5mmHg の差(99.15% 差の 信頼区間 2-8mmHg、P<0.001)であった。高炭酸ガス血症事象の発生率は、ベースライン TcCO2値≦31mmHg では 5.4% で、、ベースライン TcCO2が 32~38mmHg の場合は 22.5%、ベースライン TcCO2>38mmHg の場合は、77.4%(P<0.001)であった。

・帝王切開後鎮痛のためにクモ膜下モルヒネ 150μg を投与された女性では、高炭酸ガス血症(≧2 分間、≧50mmHg)が頻繁に発生した。高炭酸血症症候を有する女性では、ベースライン TcCO2 の高い測定値が観察された。

[!]:クモ膜下モルヒネ 150μg 投与では、3 割以上で、高炭酸ガス血症が発生した(TcCO2>50mmHg≧2 分間と定義)。術前ベースラインの炭酸ガス分圧が高い患者ほど、術後の呼吸抑制が起こりやすいようだ。

【出典】
Transcutaneous Carbon Dioxide Measurements in Women Receiving Intrathecal Morphine for Cesarean Delivery: A Prospective Observational Study.
Anesth Analg. 2017 Mar;124(3):872-878. doi: 10.1213/ANE.0000000000001751.

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