椎間板切除術の既往は硬膜外無痛分娩の効果に影響しない

Prior Lumbar Discectomy Surgery Does Not Alter the Efficacy of Neuraxial Labor Analgesia
Anesthesia & Analgesia vol. 115 no. 2 348-353

・腰椎椎間板切除術は、よくある神経外科術式である。硬膜外無痛分娩は、椎間板切除術既往のある妊婦では、術後瘢痕化と解剖学的歪曲のため、その効果が劣る可能性がある。本前向き観察症例対照研究では、椎間板切除術既往のある妊婦と既往のない妊婦との間で、分娩時鎮痛効果の間接的な尺度として、無痛分娩中の時間当たりのブピバカイン消費量を比較した。

・研究期間中、たくさんの患者を診療している、ある大学関連の女性専門病院で、椎間板切除術の既往のある妊婦で硬膜外無痛分娩を希望する全ての女性に依頼した。対照被験者は、麻酔科医の技術レベルでマッチされた。主要転帰は、無痛分娩に使用した時間当たりのブピバカイン消費量であった。試みた椎間数、カテーテル留置までの時間、鎮痛が不良であったために硬膜外カテーテルを再留置した回数など、硬膜外カテーテル留置に関係した特性を記録した。被験者の特性、分娩の転帰、鎮痛転帰は、ウイルコクソン順位和検定か、フィッシャーの直接確率検定を利用して分析された。硬膜外留置データは、ウイルコクソンの符号付き検定、マクネマーの検定、あるいは符号検定を使用して分析された。

・データは、椎間板切除術群の女性 42 人と対照群女性 42 人で分析された。無痛分娩に使用した時間当たりのブピバカイン消費量には、群間差はなかった(中央値[四分位領域、IQR]:椎間板切除術群 12.7mg/h[11.0~15.3] vs 対照群 13.2mg/h[11.3~15.7]; 中央値[95%信頼区間、CI]差: -0.55mg/h[-1.33~1.39];p=0.43)。硬膜外鎮痛の開始から分娩までの時間と分娩様式に群間差はなかった。椎間板切除群と対照群との硬膜外カテーテル留置所要時間の差の中央値(95%CI)は、0分(-1~2.5);であった p=0.38。 2 椎間以上試みた被験者は、対照群で 2% であったのに比較して、椎間板切除群では 17% であった:差(95%CI)15%(2-26);P=0.03。硬膜外テクニックと推定カテーテル留置レベルには差がなかった。カテーテル留置の完了を上級麻酔科医が行ったのは、椎間板切除群で 3 例、対照群で 2 例であった(P=1.0)。硬膜外カテーテルを再留置した例はなかった。

・椎間板切除術の既往のある、硬膜外無痛分娩妊婦では、対照群と比較して、時間当たりのブピバカイン消費量に差がなかった。硬膜外カテーテルの留置に要した時間にも差はなかったが、椎間板切除群では、試みた椎間数が多かった。今回の調査結果から、椎間板切除術既往のある女性でも、標準的な硬膜外無痛分娩は臨床的に有効であることが示唆される。

[!]:椎間板切除術既往のある患者では、硬膜外の癒着のせいで局所麻酔薬の拡がりがいびつになって効果が不十分になる、というのが一般的な説だと思うが、あくまで通説であって、実はエビデンスとしてはなかったのかも。実際に硬膜外鎮痛の効果部位は、初期には神経根の辺りであり、時間が経過すると経硬膜的に脊椎麻酔に似たくも膜下での作用であることを考えると、硬膜外後方のみの癒着なんて、効果にはほとんど影響しないということかもしれない。

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