トラネキサム酸は OPCAB 後の出血を減少させる;前向き無作為二重盲式偽薬対照研究

Tranexamic Acid Reduces Blood Loss After Off-Pump Coronary Surgery: A Prospective, Randomized, Double-Blind, Placebo-Controlled Study
Anesthesia & Analgesia vol. 115 no. 2 239-243

CABG.png・出血と同種輸血の必要性は、まだ、オフポンプ冠状動脈バイパス術(OPCAB)後の問題である。したがって、本研究では、抗線溶剤であるトラネキサム酸が、OPCAB 手術を受ける患者で術後出血と輸血必要量に及ぼす影響を評価した。

・待機的 OPCAB 予定の 231 人の一連の患者を、研究に登録した。二重盲検法を用いて、患者は、トラネキサム酸(執刀前のボーラス投与 1g に引き続き、術中に 400mg/h で注入;n=116)か、偽薬(生理食塩水を同量投与;n=115)を投与されるよう無作為割付けされた。主要転帰は、術後 24 時間のチェスト・チューブ排液量であった。同種輸血、死亡率、重大な合併症、医療材料の使用量も記録された。

・偽薬群と比較して、トラネキサム酸投与患者は、6 時間後の時点(270±118mL vs 416±179mL、p<0.001)と 24 時間後の時点で(654±224mL vs 891±295 mL、p<0.001)、チェスト・チューブ排液量が有意に少なかった。同種赤血球輸血(47 vs 31.9%(p= 0.019)と新鮮凍結血漿(29.6% vs 17.2%(p=0.027)輸注も有意に少なかった。死亡率、罹患率、医療材料使用量には両群間に差はなかった。

・トラネキサム酸は、オフポンプ冠動脈手術において術後チェスト・チューブ排液量と同種輸血の必要性を減らす。

[!]:近年、いろんな術式でトラネキサム酸の有効性がエビデンスとして確立しつつある。今更ながらという気もするが、やはり有効なものは有効なので積極的に活用していくべきかな。

<関連文献>

1.オフポンプCABG手術でトラネキサム酸は輸血量減少と関係している:系統的レビューとメタ分析

2.大動脈弁とCABGの複合手術を受ける高齢者でトラネキサム酸は輸血量を減少させる:無作為対照研究

3.小児心臓手術での出血量に及ぼすトラネキサム酸の効果:無作為試験

4.機能内視鏡下副鼻腔手術中の出血量と術野の質に及ぼすトラネキサム酸静脈内投与の効果:偽薬対照臨床試験

5.TKA後の出血コントロールにおけるトラネキサム酸の効果と安全性:無作為臨床試験

6.出血している外傷患者でのトラネキサム酸の早期投与の重要性:CRASH-2無作為対照試験の探索解析

7.脊椎固定術での低用量トラネキサム酸の予防的投与の効果;無作為臨床試験

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この記事へのコメント

私もそう思いました
2012年07月26日 20:36
この論文、私も読みました。確かCr>2.0mg/dlで、左室収縮能が保たれている状態の良い待機手術のOPCABG症例だけだったと思いますが、前向き無作為試験でしっかりと有意差が出ているのは素晴らしいと思いました。輸血のトリガーとなるHb値が高いですし、介入群の輸血必要量も臨床に与える結果としては微々たるものでしょうけれど、おまじない程度だと一部で思われているであろうトラネキサム酸での結果ですからね…。同じ号のA&Aで外来手術患者さんにリドカイン投与している論文も、個人的には面白かったです。

駄文失礼いたしました。

自省と研鑽を促すための麻酔科医ノート管理人

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