Q:気管挿管(食道挿管でないこと)を確認するにはどんな方法があるか、最短の方法は?最良の方法は?

A:手術室内で気管挿管するつもりで食道挿管してしまい、もしもそのまま気付かずに放置すれば、低酸素症をきたして患者さんはほぼ確実に死亡するだろう。気管挿管されたこと(食道挿管でないこと)は、絶対に 100% 確実に確認しなくてはならない。見逃せば「業務上過失致死」となる。

導尿カテーテルを、尿道ではなくて膣に誤挿入してそのまま気付かずにいるのと、行為上は同じだが、その結果の重大さには「天と地」ほどの差がある。

<理学所見>

1.チューブが声門を通過していることを目で見て確認する
これが確認できれば絶対確実。しかし、これはいつもできるとは限らない。チューブが喉頭蓋の直下に接していることは確認できても声門を通過していることまでは視認できないことも多い。

2.バッグ加圧に合わせて胸郭か上腹部が上下する。
胸郭が上下する場合にはほぼ確実だ。しかし、上腹部しか上下しない場合は、確実とは言えない。挿管前のマスク換気時に、胃に送気してしまって、胃がガスでパンパンになっていると、通常は一方向弁のように機能する噴門部が開いてしまって、吸気・呼気に合わせて胃内にガスがスムーズに出入りすることがある。この場合は、バッグ加圧に合わせて上腹部が上下する。

3.呼気時にチューブ内面に蒸気が付着して曇る。
けっこう確実だが、絶対ではない。胃内のガス貯留時間が長ければ、ガスが蒸気を含んでおり、胃から食道→チューブ内へと吐出されたガスがチューブ内面を曇らせることもある。

4.聴診上で胃部よりも肺野で大きな呼吸音が聴取できる。
挿管後の確認は、聴診が最も確実だと信じている人が多いかもしれない。しかし、(2)で述べたようなケース(胃に送気→噴門部開大→胃内にガスが出入)では、胸部聴診でも胃の呼吸音が聴取できる。逆に気管挿管されていても、胃部で呼吸音が聴取できることも多い。

5.回路接続前に胸郭を圧迫して、チューブの近位端に耳を近づけて、呼気の吐出を感じ取る。

<検査所見>

正常なカプノ.jpg1.カプノグラム上波形が漸減せずに数呼吸にわたって検出できる。
数呼吸出ただけでは不確実である。呼気を胃内に送り込んでしまっている場合は、数呼吸カプノが検出できることがある。しかし、この場合は漸減していく。

2.気管支ファイバーで気管軟骨を確認する。
通常、手元にはないので即時の確認というわけにはいかないが、カプノが利用できない状況では、確実性の高い方法ではある。

最短の方法は、挿入時の視認。次は胸郭を圧迫して呼気を感じる方法。回路の接続さえしないから。しかし、絶対確実とはいえない。最良の方法は漸減しないカプノグラムを確認すること。

気管挿管を確認するための手法はいろいろとあるが、全ての方法がいつも利用できるとは限らない。たまたまカプノが故障中とか、聴診器を首に引っかけるのを忘れていて、かつ部屋にも聴診器がなかったとか。

重要なことは、どんなシチュエーションでも、利用可能な複数(2 種類以上)の方法を用いて確認することだ。絶対確実な方法は少ない(漸減しないカプノ、声門通過を視認、ファイバーで気管軟骨を確認)。絶対に不確実なまま放置してはいけない。

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