Q:麻酔器で酸素:空気=1:1 で人工呼吸した場合、実際の吸入酸素濃度は?

A:計算はそう簡単ではない。換気条件や患者の代謝状態に依存して、結果はいろいろである。
しかし、ここでは、通常の成人を対象とした場合という前提で、換気条件は、TV×RR=500×12、酸素消費量を 200mL/分として考えてみよう。

(1) 新鮮ガス
「酸素 1L/分+空気 1L/分」から成る新鮮ガス 2L/分 の酸素濃度は、
(1000+1000×20%)÷2000=60%

(2) リサイクルガス
麻酔器には、呼気を再利用(リサイクル)するシステムが内蔵されている。呼気の二酸化炭素をソーダライム・キャニスターで吸収除去して、新鮮ガスでは足りない部分をリサイクルガスで分時換気量を補っている。

換気条件が、「TV×RR=500×12」であれば、分時換気量は 500×12=6000mL である。2000mL は新鮮ガスが使用され、残りの 4000mL はリサイクルガスで補われることになる。

成人の酸素消費量を 200mL/分 と仮定して、呼気ガスの酸素濃度を「K」% として、1 分当たりの呼気酸素含量に注目してみる。

麻酔器から供給される吸入ガスの酸素含量は、
新鮮ガス(1000+1000×20%)+リサイクルガス(4000×K/100)=1200+40K
呼気ガスの酸素含量は、吸入ガスから酸素 200mL が消費されるため、1000+40K となる。

一方、呼気ガスの酸素濃度を「K」% としたのだから、呼気の分時換気量も吸気分時換気量と同じとすれば、呼気ガスの酸素含量は、6000×K/100=60K と計算できる。

1000+40K=60K

20K=1000

∴ K=50

したがって、吸入ガスの酸素濃度、(1200+40K)÷6000 に K=50 を代入して、

(1200+40×50)÷6000=53.333・・・%

酸素:空気=1:1 で人工呼吸した場合の実際の吸入酸素濃度は約 53% ということになる。

しかし、実際には、ソーダライム・キャニスターで二酸化炭素が吸収された際に呼気ガス量が若干減少し、室温と患者体温によってガスの膨張と収縮が起きるので、厳密に計算しようとすると本当はもっと難しくなり、前提とするパラメータも多く必要となる。

患者が発熱していて代謝が増加していれば、酸素消費量も増加し、リサイクルガスの酸素含量が低下するため、実際の吸入酸素濃度はこれよりも低下することになる。

麻酔器による人工呼吸、いつも何気なくやっていることだが、考えてみるとけっこうややこしいのだ。

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