「アキレス腱断裂」の疫学

アキレス腱断裂で腱縫合の手術になる患者さんを麻酔科で術前診察するときに、いつも「話のネタ」にしていることがあります。

一つは、その直接の原因となったスポーツについてです。
「○○さん、何をしている時に受傷されたんですか? ’バ’の付くスポーツじゃないですか?」

これが、十中八九「当たり!」なのです。そのスポーツとは、「バレーボール」、「バスケットボール」、「バドミントン」です。これらに共通するのは、「室内競技」であるという点です。時には、サッカーや野球、テニスという事もありますが・・・。

屋外競技よりも屋内競技でアキレス腱断裂が多く発生するのは、おそらくシューズと床面との間に発生する摩擦力が、屋外競技よりもはるかに大きいために、アキレス腱に加わるテンション(緊張力)が高くなるためではないかと推察しています。屋外スポーツの場合には、アキレス腱に過剰なテンションが加わる前に、シューズと地面との間で「滑り」が発生してしまうために、結果的にアキレス腱に大きな緊張力が加わりにくいのではないかと考えています。

二つ目は、アキレス腱断裂をきたす年齢層についてです。受傷者のほとんど(おそらく9割以上)が 20~40代の人なのです。10代で、アキレス腱断裂というのはかなり珍しい。また、50歳以降でのアキレス腱断裂というのも珍しいです。

これは、20~40代の人では、「心(年齢)と体(年齢)のギャップ」が発生しやすいためではないかと推察しています。
経験的にもっともアキレス腱断裂をきたしやすい状況は、市民運動会です。日頃は、あまり体を鍛えることなど考えていない中年齢層が、「よっしゃ~、久しぶりに頑張ったるで~!」と、身体の衰えを顧みず、心のままに身体(アキレス腱)に負荷を与えてしまう状況です。

典型的には、日頃はあまりスポーツもしていないのに、若い頃やっていたからといって、「久しぶりに’バ’の付くスポーツをやった、」とか、思わず「市民運動会で頑張っちゃった、」という症例が非常に多いです。

患者さんには、「気持ちはいつまでも若くても、体というのは、確実に老化しているという事なんですよ。その心と体のギャップが今回の結果になったという事なんでしょうね。」とお話しています。多くの患者さんは、苦笑いしてくれます。

人によっては「そんなこと分かってるよ、余計なこと言うんじゃね~よ、麻酔科医の分際で!」って思っている患者さんもいるかもしれませんが・・・。

『「バ」の付くスポーツ』と『「心」と「体」のギャプ』を、皆さんも是非、検証してみてください! 個人的には、整形外科の教科書に記載されていても良いくらいの疫学的事実だと考えていますが。

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