仙骨裂孔頂点を特殊参照点とした脊髄レベルと脊髄円錐と硬膜嚢終端の測定:解剖学的および MRI 検査

・仙骨硬膜外腔と脊髄円錐(CMT)と硬膜嚢の終端(DST)との解剖学的位置関係は、麻酔科医と神経外科医にとって非常に重要である。本研究では、ヒトの死体において、MRI を使用することによって、CMT、DST、仙骨裂孔頂点(SHA)の椎骨レベルとの相関を利用して、脊椎麻酔、腰椎穿刺、仙骨鎮痛を行うのに重要な解剖学的ランドマークを調査することを目的とした。

・年齢 16-69 歳の、60 体の成人死体(男性 40人、女性 20人)と 200 人(男性 100 人、女性 100 人)の MR 腰仙画像を本研究に使用した。 CMT、DST、SHA の脊椎レベルとそれらの直線距離を、死体と MRI で決定した。また、SHA の前後方向の直径、仙骨尾骨膜の長さと厚さも測定し、これらのレベルとそれらの距離を年齢・性別と相関させた。

・CMT の MRI 椎体レベルの平均と最頻数は、男性では L1 の下 1/3、女性では L1-2 椎間板、DST のそれは、男性では S2 の上 1/3、女性では S2 の中 1/3 であった一方、SHA は両性で S4 の中 1/3 に認められ、年齢と性別に差がなかった(p>0.05)。5% 症例において、CMT、DST、SHA は、それぞれ L2 より下、S2-3 より下、S3 より上の椎骨レベルで見られた。しかし、死体標本においては、CMT、DST、SHA の平均椎体レベルは、性差なくそれぞれ、L1L、S2M、S4U に観察された。男性 MRI の全ての直線線形距離は、SHA における仙骨尾骨膜の厚さと前後径を除いて、女性と比較して有意に異なっていた(p<0.05)。

・CMT、DST、SHA の椎骨レベルと、相互間距離についての正確な知識は、硬膜嚢、脊髄、馬尾の医原性損傷を減少させる可能性がある。

[!]:この報告においても、5% 症例において脊髄下端(脊髄円錐)は L2 よりも下方に存在したとしている。L2-3 での脊椎穿刺はしてはいけない。

【出典】
Vertebral level and measurements of conus medullaris and dural sac termination with special reference to the apex of the sacral hiatus: anatomical and magnetic resonance imaging radiologic study
Folia Morphol (Warsz). 2016;75(3):287-299. doi: 10.5603/FM.a2016.0004. Epub 2016 Jan 25.

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この記事へのコメント

にゃんこ
2018年10月02日 01:08
]:この報告においても、5% 症例において脊髄下端(脊髄円錐)は L2 よりも下方に存在したとしている。L2-3 での脊椎穿刺はしてはいけない。
って、書かれていますが、、
これは、麻酔科医なら当然知っている常識であっても、他科の医師は知っているのでしょうか?
文献には、L2~以下に穿刺。…と有りますが?
医学生、研修医にもその様に教えられているのでしょうか?(教科書的には?)

私に麻酔手技をした後期専修医は少なくとも…知らなかった様に思えます!
来年には整形外科専門医になるそうですが
私と同じ症例をつくって欲しくない。…と願うばかりです。。

既に同じ症例を知っている!
…って言ってましたが、💦ホントかな?


SRHAD-KNIGHT
2018年10月02日 14:40
にゃんこ様、コメントありがとうございます。
2000年以前に出版されたほとんどの本には、腰椎穿刺は L2/3、L3/4、L4/5 のいずれかで穿刺すると書かれていると思います。
しかし、2001年の Anaesthesa の「脊椎麻酔後の脊髄円錐の損傷」の症例群の報告以来、2010年ころまでに、徐々に L2/3 穿刺の危険性が周知されるようになったと思われます。
手許にある麻酔科に研修に来るほとんど研修医が持っている(いわば教科書)「麻酔科研修チェックノート(遅くとも第4版 2013年)」には、穿刺部位について
「基本的にはL3/4(難しければL4/5またはL5/S)」
「L2/3でも通常は問題ないが、脊髄円錐が稀にL2まで下がっている人がいるため避けた方が良い。通常は脊髄円錐はL1/2レベルに存在するとされている。」と記載されています。
周術期管理チームテキスト第2版(2011年)には、
「通常、脊髄はL1~2で終わるため、穿刺はL3/4あるいはL4/5から行う。」とあります。
一方、「MGH麻酔の手引 第6版」(2010年)、麻酔科研修ノート第2版(2010年)には、昔ながらの「L2/3、L3/4、L4/5」穿刺が書かれています。「MGH麻酔の手引 第7版」(2017年)にはどう書かれているかは未確認です。
SRHAD-KNIGHT
2018年10月02日 14:40
(つづき)
「産科麻酔ポケットマニュアル」(2012年発行)には、
「脊髄は L1 のレベルで馬尾に移行するが、5% 程度の頻度で移行部が L2 以下の例も存在するので、脊髄の神経障害(脊髄円錐症候群)を避けるためには L3 以下での穿刺が推奨される」と記されています。
私自身がいつからL2/3穿刺は避けるようになったかは覚えていませんが、少なくとも、ブログに「脊髄くも膜下麻酔の投与量の決め方:脊椎麻酔の処方計画」https://knight1112jp.at.webry.info/201107/article_189.htmlという記事を書いた(2011年7月)時点では「L2/3 穿刺はしてはいけない」と考えていたように思います。
研修医には、通常、L3/4、L4/5 穿刺を指導しています。教鞭と取る立場にはないので、学生がどう指導されているかは存じません。
医師は常に最新の情報を入手するべきであることは当然ですが、既に習得してしまった手技などについて、日々再勉強することは少ないので、若い医師ほど、通常新しい本をテキストとして研修を行いますから、年配の医師よりも逆に新しい知見を常識としていることも多いのではないかと思います。
にゃんこ
2018年10月07日 03:01
来週、5月に受けた急性虫垂炎の三時間超えの術後と、その際にCTで見つかった肝臓の血管腫の検査の為に外科受診があります。
私の麻痺をした経緯をよく知っていて、何かと頼りになる医師ですので、MRI検査を依頼してみようと思います。
MRI機器の性能的なものは解りませんが、読影をしてくれる医師がいましたので、、、
ただ、その医師が、整形外科の主治医と同じ出身大学かも?…っていう疑問が有りますけど。。
もちろん、現在、私が通院している某有名大学のペインクリニックの主治医にもMRI検査をお願いするつもりです!

そう言えば…
腰痛があって通っていた脊椎専門医がいるその病院には、今回穿刺した針痕が写っていた事がハッキリとわかるMRI検査機器がありましたが、その脊椎専門医は、院内でMRI検査が出来るのに、わざわざ系列の隣の病院での検査を、私にだけではなく、他のの患者さんにも診断の為に行かせていました。
車で10分程の所にある、古い病院なのですが、画像が綺麗に写るから…っていう理由でした。
では?
この病院にあるMRI機器は程度が低いのかな?
…とか、素人目には思いますよね~。
借金が凄いある!とか、売りに出ていた病院!とか、入院患者が日本一少ない事になった事がある!…とか、後から聞いた本当の話です💦
信頼していた脊椎専門医にも、嘘をつかれていたことに落胆します。

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