Q:肥満患者では無呼吸許容時間がなぜ短くなるのか?

A:肥満が高度になればなるほど、胸郭に付いた脂肪の鎧によって呼吸負荷が増大します。一回換気量は若干少なくなり、呼吸回数が増加します。気道抵抗も大きくなるため、呼吸するためのエネルギー消費は増大します。

その一方で、腹部臓器が横隔膜を介して肺を圧迫するために、安静時呼息位からさらに強制呼息によって呼出できる量(予備呼気量:ERV:expiratory reseave volume))と、機能的残気量(FRC:functional residual capacity)が低下します。この量は、特に仰臥位になることによって著しく低下します。
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What is the clinical value of lung volumes?
Respir Care. 2012 Jan;57(1):26-35; discussion 35-8. doi: 10.4187/respcare.01374.
上図から分かるように、BMI が増大するにしたがって、FRC(RV は変わらないが、ERV が減少する)が反比例的に低下することが示されています。

酸素消費が増大する一方で、酸素のリザーバーである機能的残気量が低下するために、肥満患者は非肥満患者に比べて、無呼吸許容時間が短縮することになります。

肥満患者で、無呼吸許容時間を長くするためには、麻酔導入を頭高位=ファウラー位(Fowler position)か、半坐位~坐位で行います。、腹部内臓が下方に下がって横隔膜運動が容易になる(ひいては、バッグマスク換気が容易になります)とともに、酸素リザーバーである機能的残気量を増大させることができて、仰臥位時に比べて無呼吸許容時間を長くすることができます。

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