《レビュー》 トラネキサム酸と人工膝関節置換術

TKA.jpgこれまで当ブログで紹介した記事から、人工膝関節置換術とトラネキサム酸に関連した文献をまとめて紹介する。

初めての人工膝関節置換術でのトラネキサム酸の使用: 周術期出血量に及ぼす影響
初回人工膝関節置換術患者 62 人に、タニケットを解除 5 分前に、トラネキサム酸 2.5g か、生食を無作為に投与した。トラネキサム酸群の方が、出血量が平均 187.35mL (25.32% )少なかった(P=0.027)。輸血数は、生食群の方が多かった。(P=0.078)。血栓塞栓症は見られなかった。

TKA後の出血コントロールにおけるトラネキサム酸の効果と安全性:無作為臨床試験
片側あ/両側 TKA を受ける患者で、タニケット開始直前にプラセボかトラネキサム酸 10mg/kg を静注、その後 1mg/kg/h で創閉鎖まで持続投与。出血量は、対照群(n=25)では、片側 TKA で 270ml、両側 TKA で 620ml に対し、トラネキサム酸群(n=25)では片側 TKA で 160ml、両側 TKA で 286ml。輸血量は、前者が 26 単位、後者が 4 単位と有意に少なかった(p<0.001)。深部静脈血栓症ををきたした患者はいなかった。トラネキサム酸投与によって、両側 TKA では 54%、片側 TKA では 40% 出血量が減少し、輸血は大幅に(>80%)減少した。

トラネキサム酸とアドレナリンの関節内投与の人工膝関節全置換術後出血に及ぼす効果の比較
90 人の人工膝関節全置換術を受けた患者を 30 人ずつの 3 群に割り当て、関節包閉鎖後に関節内にトラネキサム酸 1g (20ml)か、アドレナリン 0.5mg/20ml 生食を投与するか、何も投与しなかった。トラネキサム酸群は、ヘモグロビンとヘマトクリット値の減少が、他群と比較して有意に少なかった。ドレーン回収血は、トラネキサム酸群とアドレナリン群では有意に少なかった。トラネキサム酸の関節内投与は、効果的な止血を達成するために有益かつ安全であった。

初回の膝関節置換術における出血を減少させるためのトラネキサム酸の静脈内投与と関節内局所投与を比較
初回の人工膝関節置換術で、トラネキサム酸の局所関節内投与(3g/100 mL 生食、n=39)を、静脈内投与 2 回(100mL 生食に 15mg/kg をタニケット解除前と術後 3 時間、n=39)と比較した。輸血率は両群ともゼロで非劣性がは証明され、同等性が示唆された。24 時間のドレーン出血量は、関節内群 315.6mL vs 静脈群 308.1 mL(p=0.948)、48 時間の推定出血量は、関節内群 1259.0mL 静脈群 1317.9mL(p=0.837)であった。トラネキサム酸の局所投与は、安全性の懸念なく、静脈内投与と比較して非劣性を証明した。

出血量とフィブリン溶解亢進を予防するための人工膝関節全置換術における静脈内と関節内トラネキサム酸併用
TKA 患者 150 人を 3 群に分けて、TKA 前に トラネキサム酸 20mg/kg を静脈内に(n=50)、TKA 後に トラネキサム酸 3.0g を関節内に(n=50)、または TKA 前に静脈内トラネキサム酸 20mg/kg と TKA 後に関節内トラネキサム酸 3.0g を併用(n=50)投与した。静脈内+関節内併用投与群は、静脈内単独群、関節内単独群よりも 総出血量、隠れた出血量、最大 Hb 降下が減少し、FDP と D ダイマーの減少を示し、TKA 時の出血と線溶亢進を予防するのに優れていた。

初回人工膝関節全置換術におけるトラネキサム酸の静脈内と局所併用投与の有効性と安全性:無作為化対照試験
701 人の患者を含む 6 件の RCT をメタ分析に含めた。併用群の方が、総出血量、ドレーン排液量、最大ヘモグロビン低下が、静脈内単独群よりも少なかった。輸血必要量、深部静脈血栓症と肺塞栓は群間差がなかった。

[!]:人工膝関節手術では、静脈内投与単独よりも、静脈内と関節内に併用投与するのが効果的なようだ。

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