トラネキサム酸クモ膜下誤投与:2 件の症例報告

トラネキサム酸.png【症例1】
タイトル:「硫酸マグネシウムで治療したトラネキサム酸の不注意によるクモ膜下注射後のてんかん重積状態」
・待機的帝王切開分娩のために脊椎麻酔中にトラネキサム酸を誤って注射した症例を著者らは提示している。

・2mL の溶液をクモ膜下注射した直後に、患者は激しい背部痛を訴え、続いて筋肉のけいれんとテタニーを訴えた。脊椎麻酔の形跡がなかったので、投与された薬物を調べたところ、トラネキサム酸の「使用済み」アンプルが脊椎トレイに見つかった。全身麻酔が導入されたが、筋痙攣とテタニーは非脱分極筋弛緩薬の投与にもかかわらず持続した。血行動態の不安定性、心室頻拍、てんかん重積状態が発症し、これらはフェニトイン、ジアゼパム、チオペンタール、ミダゾラム、アミオダロンの注入に抵抗性であった。

・集中治療室で術後に、硫酸マグネシウムが投与され、その後、発作の頻度は減少し、最終的には停止した。残念なことに、術後 3 日目に、患者は酸素供給不全の後に心肺停止で死亡したが、これは最初の出来事とは関連していなかった。

・この報告は、薬物過誤を避けるために注射前に投薬を二重チェックすることの重要性を強調している。また、硫酸マグネシウムがトラネキサム酸のクモ膜下注射によって引き起こされる発作を止めるのに役立つかもしれないことを示唆している。

[!]:トラネキサム酸がクモ膜下に投与されるてんかん重積発作様の痙攣をきたす。

【出典】
Refractory status epilepticus after inadvertent intrathecal injection of tranexamic acid treated by magnesium sulfate.
Int J Obstet Anesth. 2016 May;26:71-5. doi: 10.1016/j.ijoa.2015.11.006. Epub 2015 Dec 2.

【症例2】
タイトル:「薬物過誤:トラネキサム酸のくも膜下注射」
ラベル、外観、アンプルの場所など、いくつかの要因が薬物過誤の一因となっていることが確認されている。脊椎麻酔中にブピバカインの代わりにトラネキサム酸を誤って注射した症例を紹介する。3mL の溶液を注射した 1 分後、患者は彼女の下肢のミオクローヌスを発症した。誤った薬物の偶発的クモ膜下注射が疑われ、トラネキサム酸の使用済みアンプルがゴミ箱から発見された。ブピバカイン(5mg/mL、商品名「Sensovac Heavy」)とトラネキサム酸(500mg/mL、商品名「画像


[!]:これは外国の症例で、日本ではトラネキサム酸とブピバカインのアンプルが似ている例はなさそうなので同じことは起こらないでしょう。しかし、同じサイズで、アンプル色も同じ、かつ同系色のラベルのアンプルは誤認しがちです。保管場所を離れた場所にしたり、別の段にするとかして、誤認・誤投与を未然に防ぐ工夫をしましょう。
画像
カルボカインとトランサミン、似ているアンプルもあるね。
【出典】
Medication error: Subarachnoid injection of tranexamic acid.
Indian J Anaesth. 2012 Mar;56(2):168-70. doi: 10.4103/0019-5049.96335.

<関連記事>
産科脊柱管薬剤投与過誤:定量的および定性的分析レビュー産科脊柱管薬剤投与過誤:定量的および定性的分析

脊椎麻酔中に投与されたトラネキサム酸に関連した破局的な薬物過誤

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 7

なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた 驚いた 驚いた 驚いた

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック