大量嘔吐における気道浄化のための 3 種類の気道管理法:マネキン研究

嘔吐4.png・気道管理中に嘔吐が起こり、その結果、肺への誤嚥をきたす割合は、全身麻酔を受ける絶食患者で 0.01%-0.11%、非絶食状態の救急患者で 0%-22% である。吸引補助下喉頭鏡検査気道浄化(SALAD)では、喉頭鏡検査および気管挿管を行いながら、吸引カテーテルを下咽頭に挿入する。意図的食道挿管(IEI)では、気管挿管前に盲目的に食道に挿管して嘔吐を制御する。両方とも、大量嘔吐の状況での気管挿管のために、以前に報告されているテクニックである。本研究では、SALAD と IEI の手法を、模擬的な大量嘔吐の設定で、その場その場での硬性吸引カテーテルによる気道浄化と気管挿管という従来のアプローチとを比較する。

・麻酔と救急医療(EM)の上級レジデントは、3 つの試験群に無作為化された:従来群、IEI 群、SALAD 群。各レジデントは、割り当てられたテクニックの説明ビデオを見て、マネキンでテクニックを実施し、SALAD シミュレーションマネキンを使用して試験シミュレーションを完了した。主要評価項目は、マネキン下気道で収集された吸引量であった。副次評価項目は、挿管成功率、挿管試行回数、挿管成功までの時間が含まれた。また、シミュレーション前とシミュレーション後の人口統計および自信評価アンケートデータも収集した。

・31 人のレジデント(麻酔科レジンデント 21 人と EM レジンデント 10 人)が無作為化された。ベースライン群の特性は同様であった。従来群、IEI 群、SALAD 群の下気道収集平均吸引量(標準偏差[SD])は、1L あたり 、それぞれ、72(45)(mL)、100(45)mL、83(42)mL であった(p=0.392)。挿管成功率は、全群で 100% であった。従来群、IEI 群、SALAD 群での挿管成功所要時間(SD)は、それぞれ 1.69(1.31)分、1.74(1.09)分、1.74(0.93)分であった(p=0.805)。全体として、レジデントは、研究終了後の気道管理に対する自信(1.0[0.0-1.0]、P= 0.002)とスキル(1.0[0.0-1.0]、P<0.001)の増加を報告した。

・今回の研究では、3 種類の挿管法は、同様の成績結果を提供し、3 種類のうちのいずれもが大量嘔吐の場合に使用できることを示唆しているが、この結論はさらなる研究に値する。レジデントは、今回の経験後、気道管理に対する自信とスキルの向上を報告しており、マネキンの使用が学習効果をもたらすことを示唆している。

SALAD 法とは、最初に右手で硬性吸引管をもって、吸引しながら喉頭鏡を挿入し、喉頭蓋が確認できた時点で、吸引管を喉頭鏡ブレードの左側(患者の左口角側)に移動させて、その先端を下咽頭に位置させて、喉頭鏡ブレードで固定して吸引を続行しながら、今度は、右手に気管チューブを把持して気管挿管操作に移る、という一連のテクニック。

【出典】
Three Airway Management Techniques for Airway Decontamination in Massive Emesis: A Manikin Study.
West J Emerg Med. 2019 Aug 6;20(5):784-790. doi: 10.5811/westjem.2019.6.42222.

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