心臓手術後の術中高酸素と急性腎不全との関連:後ろ向き観察研究

.
・2006 年 11 月〜 2018 年 12 月に人工心肺を用いた心臓手術を受けた成人患者を対象とした三次教育病院での後ろ向き観察研究である。動脈酸素分圧(PaO2)閾値 300mmHg 以上の面積(AOT 300、mmHg×時間)を術中高酸素血症の指標として用い、ロジスティック回帰分析を用いて術後 AKI と関連づけられた。また、データは制限付き立方スプラインモデルを用いて適合させた。感度解析は、異なる PaO2 閾値(150、200、250、350mmHg)を用いて行った。
・合計 2,926 人の患者が解析された。術中 AOT 300 は独立して AKI のリスクと関連していた(オッズ比 1.0009、95% 信頼区間1.0002-1.0015)。PaO2 300 mmHg を超えた PaO2 増分 100 mmHg が 1 時間続くと、AKI のリスクが 9.4% 増加した(1.0009 100≒1.094)。スプラインモデルでは、 AKI の対数オッズは AOT 300 が増加するにつれて増加した。感度解析では、AOT 250 と AOT 350 も AKI のリスクと有意に関連していたが、AOT 150 と AOT 200 は関連していなかった。PaO2 閾値が 150mmHg から 350mmHg に上昇するにつれて、オッズ比は徐々に増加した。
・術中高酸素血症は人工心肺術後の AKI のリスクと有意に関連していた。
ひこ
人工心肺を使用した開心術では、AKI の予防のために、動脈血酸素分圧を 200mmHg 以下にした方が良いようだ。
【出典】
Association Between Intraoperative Hyperoxia and Acute Kidney Injury After Cardiac Surgery: A Retrospective Observational Study
Journal of Cardiothoracic and Vascular Anesthesia Published: November 28, 2020
Association Between Intraoperative Hyperoxia and Acute Kidney Injury After Cardiac Surgery: A Retrospective Observational Study
Journal of Cardiothoracic and Vascular Anesthesia Published: November 28, 2020
この記事へのコメント