麻酔科医による吸入麻酔薬と静脈内麻酔薬の選択は神経膠芽腫患者の生存に影響しない

神経膠芽腫.png・最近のデータは、充実性腫瘍の切除時に使用する麻酔の種類は、吸入麻酔(INHA)よりも全静脈麻酔(TIVA)の方が、患者の長期生存に有利な影響を与えることを示唆している。著者らは、神経膠芽腫(GBM)切除を受けた患者の生存に及ぼすこの影響を明らかにしようとした。

・2010 年 1 月から 2017 年 6 月までに、ハイデルベルク大学病院脳神経外科で、新たに診断された isocitrate-dehydrogenase-1(IDH1)-wildtype GBM の待機的切除を全身麻酔下に受けた全患者を対象とした。患者は、使用された麻酔法によって群分けされた。潜在的な予後交絡因子を調整するために、年齢、切除範囲、O-6-メチルグアニン-DNA メチル化酵素(MGMT)-プロモーターメチル化状態、術前カルノフスキー性能指数、術後補助的な放射線療法と化学療法を考慮して、患者を 1:2 の比率でマッチングさせた(TIVA vs INHA)。主要評価項目は悪化のない生存期間(PFS)、副次評価項目は全生存期間(OS)とした。

・研究期間中、新たに診断された IDH wildtype GBM の切除を受けた患者は 576 人であった。追跡調査データが不完全な患者、緩和治療を受ける患者、緊急手術または覚醒手術を受けた患者があり、54 人が TIVA 群に、417 人が INHA 群に残った。マッチング後も 52 例が TIVA 群に、92 例が INHA 群に残った。PFS 中央値は両群とも 6 ヵ月であった。全生存期間の中央値は TIVA 群で 13.5 ヵ月、INHA 群で 13.0 ヵ月であった。既知の予後因子で調整する前も調整した後も、麻酔の種類に関連した有意な生存期間の差は認められなかった。

・本後ろ向き研究では、IDH wildtype GBM の切除時に使用された現行の麻酔法が、患者の生存に影響を与えないという考えが支持される。

神経膠芽腫切除術に際しての麻酔法は、予後に関係がなかったと。

【出典】
The anesthetist's choice of inhalational vs. intravenous anesthetics has no impact on survival of glioblastoma patients
Neurosurg Rev. 2020 Dec 22. doi: 10.1007/s10143-020-01452-7. Online ahead of print.

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この記事へのコメント

silkhat
2020年12月31日 09:22
お疲れ様です。
「これが良かった!」と出たと思えば「ごめんやっぱ変わらんかったわ」の繰り返しですが、それでも研究をやめない人たちって情熱家だなと思います。
自分、最近は医学教育に力を入れて若手の育成をすることで世のためになるよう方針転換しました。